[事実関係]
架空名義の指定金融信託、定期預金及び通知預金があった場合に、これら現預金に所有されているのは、資本家か法人かが問題となることがある。
これについて、原告法人は、法人の代表者の資産であるとしたが、
税務署長は、法人の所有であるとして更正処分を行い、
裁判所は、
法人が売上除外、架空仕入れ等の不正経理を行い、その取得資金が本件預金類の源泉となったものと推認できること、当該法人が同業者に比べその利益を上げ得ない特段の事情も認められないので、当該法人も同業者と同様に、利益額を増大させてきたと推認することができ、当該法人の財務諸表と同業者の業績表を対比すると、その差益率及び利益増加率の低いことが認められるから、法人の営業による利益が本件預金に十分なり得たものであることが認められたこと、
代表者及びその同族関係者の個人収入については、法人からの給与、手当等の収入以外に収入源はなかったことが認められ、本件預金を形成するに足りる資金が代表者らに存したと認め得る証拠はなく、結局、本件預金は、その殆どが法人の営業活動とその不正経理によって形成されたものということができること、
本件預金の使途については、代表者らの個人的使途に使用されたと認めるべき証拠がないこととして、税務署長の更正処分を首肯した(名古屋地判昭和53年3月27日)。
高裁も、所得の帰属を認定するにあたっては、その発生原因たる行為や事実の法的評価によるば合の他、得られた所得の実質上の管理、収益、処分がいかなる者によってなされているか等諸般の事情を考慮してその利益享受者を確定すべきであるとして原判決を維持した(名古屋高判昭和56年3月31日)。
[解説]
法人の計上した売上、仕入が土台となる経済関係に基づいていないことから、売上を抜いて、仕入をフィクションしたことを預金の源泉とするのであれば、当該法人に搾取の源泉となる現金を投資したのは産業資本家、金融資本家である。
これは法的評価という実体のない、事実に備わっていない属性の問題ではなく、経済関係、それを土台にした法律上の事実の確定の問題である。
自然人というのは方便で、人間生まれながらに権利を持っているというのは嘘で、権利の土台となる現金も所有していない。自然という宗教学を使用して権利という属性を付与している。金融資本家が産ませた子供であっても、生まれつき現金を備えておらず、親から投融資を受け、資本関係、更に生産関係が形成される。
産業資本家に現金を投融資したのは、金融資本家である。現金は無記名である。金融資本家が所有する金融機関に留保された現金の源泉は、預金者の預金か、中央銀行が発行した現金である。各々の現金の所有者を決めることはできない。
金融資本家が所有する中央銀行に留保された現金の源泉は、金融資本家の他の資本家との間にある既存の現金留保過程を土台とした経済関係を土台にフィクションされたものであって、現実には、経済実体を持たない。
現金は所有主を持たず、その流通過程において、劣後金融資本家が一時的にプールすることが可能であるから、資本関係を土台に、全資本家が所有する法人に自由意思に関係なく登記させ、登記により法人に付与した属性を社会に認めさせることをさせ実体あるものとし、時間という属性を規定し、経済過程中の一定期間毎の現金留保を確定させ、中央銀行の準備金制度を創設した。各資本家は、留保させれた現実には所有していない現金が資本家自身のものであるか、所有する法人のものなのかを決定せざるを得ない。
役員は、自身の既存の現金留保過程に基づいて法人の資本家の金を使用できない。すなわち経済利益を享受できない。売上除外した金額と仕入架空計上分の金額は資本家への配当ということになるであろう。