株式の所有割合で国外関連者か否かを決定しているが、公開法人の場合、株主構成を見ても、主要株主は法人であり、各々の所有割合は低く、それだけ見ただけでは、国外関連者か否かは決定できない。借入金も資本金であり、融資を土台に資本関係が形成される。
実質支配関係基準なるものがあるが、経済は、人による人による支配ではない。生産手段であり、搾取の源泉である現金の貸付けが生産関係である。役員は使用人であって、資本関係上、生産関係上、自由意思に基づいて経済関係を決定することができないし、自らの現金留保過程に基づいて経済関係を確定できない。
武田薬品は、株式をロスチャイルド所有の日本トラスティサービスに6.04%、日本マスタートラストが3.61%(2012年3月31日)である。武田薬品は、2011年9月に三井住友銀行から6,000億円借入をしている。ロスチャイルド財閥の使用人を、アボットラボラトリーの役員すなわち使用人にすることによる生産関係、ロスチャイルドからの投融資を土台としたTPPの推進に賛同する法人にアボットラボラトリーがリストアップされているという経済関係、ネスレの中南米の資産を購入することに応じることを要求されているという経済関係から見れば、アボットラボラトリーもロスチャイルド財閥と資本関係にあると見ることができ、武田薬品とアボットラボラトリーは現実には兄弟会社ということになり、国外関連者ということになる。
TAPに出資した武田薬品とアボットラボラトリーに現象面から資本関係がないことから、両者の間で行われた利益配分は独立企業間価格であるとする事務連絡を基に独立企業間価格か否かを国際金融資本家に所有された日米国税当局が協議し、日本の税務当局が独立企業間価格でないと主張させられ、米国国税当局が独立企業間価格であると主張させられていたとすれば問題である。移転価格税制は、国際金融資本家と日本の全資本家の集まりたる国家との資本関係を土台に、当該国外関連者間の資本関係、経済関係、生産関係を土台とした留保所得である現金留保を疎外し、新たな価値属性をそこに付与して物象化すなわち実体化して留保所得を算定する。
国際金融資本家にとって、生産関係にある税務署長が、国際金融資本家が所有するFRBを構成する金融機関に投融資により所有された全資本家の集まりたる米国を通じて、現金を還流させなかったことから、国際金融資本家が日本法人と日銀を所有しているとはいえ、日本法人に現金留保をさせないという既存の経済過程から、国際金融資本家は、政治を土台にしたのではなく、資本関係、既存の現金留保過程という経済関係、生産関係を土台に、税務署長に利益配分のやり直しをさせたのである。武田薬品側のいう二重課税の方便を認めさせることに成功したわけではないのである。