違約金を使用人給与から天引きして預かり、当該天引きした金銭を預かり金で経理した後、当該使用人が退職した場合、預かった金に計上した金額についてであるが、労働基準法には、制裁金として給与天引きすることを認め、支払ってしまえば救済されることが困難であるという問題があるが、労働基準法 16条は、使用者は、労働契約の不履行の違約金を定め、損害賠償を予定する契約をしてはならないとし、24条により給与は全額支払わなければならないとされている。

使用人は、生産関係上、自由意思で生産し得ないから、違約金を給与から天引きすることはできないのである。

使用人が出勤していなくても、生産関係に基づいていれば、使用人給与が生じる土台となる。預かった金銭は、未払給与である。生産関係が終了してからも、過去に成立していた生産関係から法人を所有する資本家に、元使用人は金銭を請求することは現実には困難であり、労働基準法も、給与について、金融資本家と全資本家の集まりとの資本関係から2年の消滅時効を定めてしまっている。

生産関係から鑑みれば、資本家は、自由意思で未払給与を時効にしえないのであるが、金融資本家との資本関係により、法律により、時効の援用という法律上の行為により、給与の未払を時効とすることを社会に認めさせることに成功してしまっている。

資本家は、生産関係にある経営者に時効の援用を行わせたとき、預かり金に計上した未払給与は、使用人に支払われることなく、法人の現金留保、法人を所有する金融資本家の現金留保は蓄積されたのであるから、益金に計上しなければならないであろう。

未払給与について労働者は、未払給与も未払給与の計算期間が存在する年の給与所得になるが、未払給与に係る源泉徴収は現実には行われず、未払給与についても所得税法上の源泉徴収額が徴収されたものとして年末調整が行われるから、未払給与分についての税負担はない。

未払給与分を翌年以降支払われたとしても、未払給与は、現実に労働した年の労働を土台にしているから、未払給与の精算であり、一時所得による課税や賞与による課税が行われるとする見解もあるようであるが、一時所得や賞与と認定して課税することは行い得ないと考える。