[事実関係]
退職後に勤務先の親会社から、譲渡制限株式の譲渡制限が解除されたことに伴い支給された株式がについて、裁判所は、当該経済的利益は、職務を遂行したことによる対価としての性質を有する経済的利益であることは明らかであり、雇用契約に基づいて提供された非独立的な労務の対価であると認定し、退職所得の要件の一つであ勤務関係の終了という事実により初めて支給されるという要件を満たしていないから退職所得に当たらないとした判決がある(東京地裁平成24年7月24日)。
[解説]
金融資本が、産業資本又は劣後金融資本が所有する法人を買収するプロセスや、債務者が提供した担保財産を取得し、譲渡するプロセスを土台に、取得前又は譲渡前に付与された価値を経済関係により規定し物象化しているから、法人税の課税は、時価による取引による所得を前提としている。
そうであるから、産業資本や劣後金融資本は、金融資本家との資本関係により、国内で納税をさせられ、金融資本家は、譲渡益をオフショアに移転するのである。退職金又は給与の金額は、退職者が取得した株式の時価であり、給与債務又は退職金債務を株式により代物弁済を受けたのであって、株を無償譲渡して、一旦収益を発生させたとみなし、発生させた譲渡対価を原資に給与又は退職金を支給したわけではないから、株の譲渡は、有償譲渡である。株式の時価と簿価との差額は給与又は退職金であって、寄付金ではない。
現実の経済関係は、時価相当額に対価の額を加えた金額が退職金ということになるのではない。
親会社の株式について、親会社に投融資する金融資本家との資本関係、生産関係を土台とした約定により、退職前に、生産関係を土台に株式が付与されても譲渡制限が解除されるまでは、現実には労働者である取締役は、自由意思で株式を処分することはできず、
所有を規定される前に、親会社と子会社の経済関係、資本関係、親会社、子会社との生産関係から退職せざるを得なくなった場合には、株式を没収され、所有が親法人所有の金融資本家に規定され、譲渡制限が解除させられて、退職申し出ざるを得なくなった者は、株式を所有させられ、所有前に、金融資本家の経済関係により低い価値属性を付与されることにより搾取され、金融資本家から再投融資を受け、株式を担保にとられたり、譲渡して現金を信託にとられる土台ができたのであるから、
経済利得を取得して、法律行為により、他の実体の利害を疎外して自己の所有する経済関係によって、処分しうるプロセスからみれば、譲渡制限解除するまでは、土台となる経済的利益の取得があったとは言えず、経済利得については、譲渡制限があって株式を取得した日が存在する年分の給与所得ということになるであろう。
譲渡制限後解除も、親会社を通じて、退職したとする子会社を所有し続け、所有と経営が分離していなければ、現実には退職したとはみなさず、退職という生産関係を土台にした支給とはいえないから、退職所得とはいえないこととなり、配当所得ということになるであろう。株式を譲渡して現金に替えれば譲渡所得になると思われる。