利益の額が確定されるプロセスは、人や人との関係が規定するのではない。法人は資本家、金融債権者の集まりである。法人を設立し、法を媒介に実体のあるものとし、労働力商品からの搾取の結果であり、搾取の源泉となる現金資産をそこに分散させる。

資本家、法人共に、相互に関係はあるが、金融資本家との資本関係により法律行為により別個に存在させられた実体であるから、法人、個人の一方のみ課税にしたのでは、使用人の労賃を使用人に負担させることとなり、実体ある資本家の課税の土台となる所得の一部が課税を免れることになる。

法人所得が益金不算入となり、オフショアの使用により株主の配当所得が非課税となれば、二重非課税又は全く課税がされないことになる。金融資本家、金融債権者との経済関係、所有関係によって法人の利益確定のプロセスは規定される。金融資本家、融資の債権者を所有する資本家は、投融資を受けざるを得なくさせられた者の債権者たる銀行との生産関係を通じて、所有する経済関係、資本関係を土台に、役員、使用人の給与の額、棚卸の算定過程、在庫数の規定過程、保険の加入、セックスにまで介入する。

利益を現実よりも大きく計上すれば、金融資本家は、実体のない信用やリスクやを持ち出し、実体のない目的を創設し、信用の保全目的、リスクヘッジ目的から納税者の使用人が自主的に行ったかのような主張をする。

納税者の使用人が過少計上を行わざるを得ないときは、リスクヘッジといった実体のないリスクを持ち出したり、節税目的という実体のない目的を創設したりして、納税者たる産業資本家、劣後金融資本家の使用人に自由意思による自己責任を負わせ、金融資本家との所有関係を土台として現金留保を蓄積せざるを得なくしていることを所有するメディアに報道させない。

会計上内部留保を構成するものは、現金資産だけでなく架空資本たる有価証券、固定資産、投資、法律上の権利という属性を付与して物象化した無形資産、繰延資産もあるが、全ての資産は、価値属性の備わっていない、測定の尺度となることができない現金商品と交換され、現金、資産に価値属性が付与され、金融資本家が現金留保の蓄積を所有関係を土台に搾取を行わせる源泉となるのは、現金資産である。

利益操作をせざるを得なくさせられた法人の経営者属性が付与された資本、生産手段を持たない労働者、は自由意思は存在しない。利益操作を叩く理由として、投資家保護、融資を行う債権者である金融資本家の保護を唱える者がいるが、利益操作を規定しているのは、金融資本家の経済関係、資本関係であって、金融資本家の保護を唱えることは、金融資産家に逃げ口上を与えることである。金融資本家に所有関係を土台に投融資を行わざるを得なくさせられた劣後金融資本家や産業資本家によって、利子配当払い、その原資となる拠出を転嫁される、納税を転嫁される労働者の存在が、利益操作に関する問題提起の土台となるのである。