<p>税務署と税務署長については、税務署は、所管の事務につき国の意思を決定し、これを外部に表示された権限を与えられた国の機関であり官庁であり、つまりは税務署長は官庁として自らの意思を決定し、その決定を表示するために、これらを行うための準備的調査を行うのであると言われるが、各種の事務に従事する事務に従事する多くの補助機関や物的設備が必要となり、ここにいう補助機関や物的設備を総じて税務署と指称している旨が言われることがある。
裁判例においては、「税務署は、国家の機関として所管の国家事務につき国家の意思を決定しこれを表示し得る権限を與られているから官庁であり、行政庁であると言うべきであるけれども税務署そのものは国家事務を行うに必要な一つの人的及び物的の設備の全体であって、いわゆる官署に過ぎないから国家の機関でもなく又右のような権限を何等有していないので官庁でも行政庁でも有り得ない」とする(鳥取地判昭和24年6月8日)。
金融資本家、産業資本家といった資本家は、人のことではない。資本家は、経済関係上の一方にある実体である。金融資本家の所有する機関すなわち装置が全資本家からなる国家であり、金融資本家の経済関係に基づいた経済関係を規定する。そこに自由意思はない。税務署長は、所管の事務につき、ブルジョアの集まりである国家が規定した経済関係を伝達する生産関係上の義務を課せられた国の機関であり、官庁である。そこに自由意思はない。ブルジョア国家は、オフィショア資産も含めれば、現実には純資産が存在していても、日銀を通じ、アメリカ、ヨーロッパの国際金融資本家からの投融資を受けているから、自由意思で使用できる現金を所有していない。税務署長に経済行政を動かす土台となる現金は所有していないからである。税務署長は、規定された経済関係を伝達する土台として、労働力商品を購入し、生産関係を形成させざるを得ず、生産関係を土台に準備調査を行う。この生産関係の全てを税務署という。行政機関たる税務署長は、国際金融資本家の資本関係を源泉に、経済関係に基づいて租税債権を確定せざるを得ないのである。