法人税の実務においては、法人が解散した場合、各清算期末時点で、残余財産がないと見込まれる場合(例えば、実体貸借対照表上で債務超過にあること)を前提に、期限切れ欠損金を利用できるとされる(法人税法59③、法基通12-3-8)。
国税庁質疑応答事例集においては、清算期末時点において実現が認められない損益であっても、将来実現が見込まれる損益は、実体貸借対照表の負債に含まれることを根拠に、土地譲渡益が生じた場合に、未払法人税等を負債の中に含めて債務超過の判定ができるとしている。
法人税は、留保所得が存在すれば、金融資本家との経済関係から、支払う支払わないに自由意思はないから、将来発生する見込みがある云々の問題ではない。劣後金融資本家所有法人間、劣後金融資本家所有法人と産業資本家所有法人の間においては、現金を残して納税の支払手段にせざるを得ないから、債務免除を行うことがある。
最後事業年度においては債務超過にならないこともありうるが、このような場合にも、未払法人税等を負債に含めて債務超過を判定できるとみる見解がある(税務通信3241号)。同誌は、債権者が清算法人の株主に残余財産を分配する目的で、債務免除を行うような場合には、清算法人の清算法人に係る期限切れ欠損金の利用の可否とは別に寄附金課税の問題が生ずる可能性があるとする。
債権者と株主が共に同一の金融資本家が所有する同一の法人であることや同一の金融資本家が所有する、相互が関係会社であることがある。金融資本家は、当該法人及び当該法人に投融資した法人をを資本関係により、事業拡大、債務拡大をさせ、債務超過により、清算させて債務免除という手段を用いて現実には投融資を行うことがある。残余財産の配当を受けて、法人税の課税は免れることにより、搾取の源泉である現金資本を蓄積する。配当を受けさせるという実体のない目的の問題ではなく、配当を受け、債務免除による損金算入とみなし配当の益金不算入制度により法人税課税を免れ、さらにはこれら法人を所有する金融資本家がオフィショアを経由して配当所得に関する所得税を免れ、二重三重に課税を免れることもありうるし、これら課税の内、1つでも免れるような土台となる契約、契約の土台となる経済関係が解散前に存在していれば、債務免除が寄附金とされることが成立しうると考える。