法人に税務調査が入ると、調査官が、総勘定元帳の修繕費勘定の頁を見て、その中からいくつか抽出して請求書、見積書、竣工図、完成引渡証、工事台帳といったものを見ていくと、社宅家賃の徴収、計上のない役員自宅の修繕工事の見積書、請求書、完成引渡証、竣工図といったものが出てくることがある。家族従業員だけの零細事業でなく、年商数十億の、現実にも会社組織を備えた、自計化された法人に上記のような役員自宅の修繕費が計上されていたりするのである。役員自宅を使用した使用実績を記録して事業関連費であると主張するのであろうが、事業所と家庭が別の住所にある場合、役員と取引先の経済関係、役員と使用人の生産関係からみて、役員自宅で会議、商談、接待を行わざるを得なかったということが言えるかどうかである。役員家族は、役員の階級に規定されるとはいえ、商談、会議の相手先が自社及び自社の取引先の営業の秘密に係ることを役員自宅で打ち合わせ得るかである。役員自宅の修繕が修繕費から否定されれば、修繕は、定期定額でない、継続的に行われないものであるから役員賞与、役員が株主であれば、配当ということになるであろう。