価値属性付与を基とする時間、スペースにより、広告掲出期間、広告スペースには社会関係上の制約がある。事業を行う者は、インターネットや電波を使って全ての人間にその事業、商品の存在を全ての者に知らしめることができるだけの資本関係、経済関係、生産関係を所有する資本家ばかりではない。
広告宣伝費の要件として考えられるものは、①掲出した商品、役務に実体があり、②広告宣伝資産、役務の提供を受けていて、その対価を支払わざるを得ないこと、③既成事実として経済関係生産関係所有関係のある者だけだなく、これら関係のない者にも、その商品、役務の存在を知らしめ、④現実に取引が成立するか、商談に進んで、又は現実に試供品、商品を手にとって、説明を見たり、試用したりして、商品、役務についての、開発の原因、経緯、検収のプロセス、結果、長所、短所、問題点を含めた全ての情報を知る原因となる広告宣伝に供した資産、媒体の取得に要した費用ということが挙げられるものと思われる。
当該支出をして当該商品の全情報を説明する原因となる役務の提供がなければ、産業資本家と金融資本家との間の資本関係から、その支出に自由意思はないのであるが、広告宣伝費は、金融資本家の所有するメディアへの投融資、配当支払い、献金ということになる。その金額が大きければ大きいほど経済関係が形成される。広告宣伝物の生産、広告宣伝物の存在を伝達するという役務提供について、現金を支払うという経済関係が必要となる。支出の目的や、宣伝効果を期待して支出したということは、実体のないものであるから、広告宣伝の要件とはなりえないであろう。