[事実関係]
譲渡担保の譲渡は資産の譲渡には該当せず、退職金の一部として支払った土地建物については、譲渡担保に供された資産とはいえないから、土地の譲渡価額とその帳簿価額の差額を益金算入をされる旨の更正処分を維持した事例がある(東京地判平成6年11月29日)。
[解説]
金融資本は、全資本家の集合である国家に投融資して所有し、国土すなわち資本家の土地を収奪して自己の所有としてきた。
担保権が設定されれば、担保に供された資産は、現実には、担保権者である金融資本家の所有である。債務者が債務を弁済できなければ譲渡資産を第三者に譲渡しすることができるだけでなく、譲渡担保権者が、債務者が弁済する前に担保に供された資産を譲渡し、譲渡先第三者にも貸付けを行い内部留保の源泉たる現金資産を蓄積する。
現実には、金融資本家は、労働者に支払利息という方便によって、また、他の資本家と商品と現金商品を交換する前に労働を疎外することによって、労賃を搾取し配当原資、利息収入の原資を蓄積してきた。
担保権の登記に自由意思はなく、法律行為により経済上の権利を全資本家に認めさせるプロセスに鑑みれば、法律上の所有と経済上の所有が異なることはありえない。金融資本家との資本関係から担保をとる側も担保を設定せざるを得ない債務者も担保資産の所有の移転に自由意思や目的は備わっていない。買い戻し目的といった意思は債務者には成立しない。
買い戻しが行われる土台となる資本関係、経済関係の全て又は何れかがあって契約があって実体あるものとなる。生産関係所有権の移転は実体あるものとして社会に認めさせられているのである。
資本を所有しない役員や資本金借1,000万に満たないような零細業者、零細事業者で金融資本家からの借入がある者、金融資本家からの借入がある中小事業者の役員は、経営者の属性、名目が与えられていても現実には労働者であって現実には経営者という階級は存在しない。
現実に存在する労働を土台とする生産関係に鑑みれば、資本家の退職金支払債務と、資本家の所有する金銭債権は別個のものである。
そうすると、土地建物の支給は、退職金債務の代物弁済であり、土地の有償譲渡ということになる。金融資本家による貸付けに伴う、代表者から金融資本家たる法人の資本家への譲渡が、所有権移転登記を媒介として所有権を他の全資本家である社会に認めさせることに成功し、担保権者であることを社会に認めさせることに成功していない場合でも、当事者は、資本関係経済関係生産関係に基づいて法律行為をせざるを得ず、法律行為を行う行わないに自由意思は介在しない。
ここでも生産関係に基づく退職金支払債務に鑑みれば、退職金受給者の返還不要が確定した、既に疎外した労働分を含む土地建物の時価を含んだ金額が法人資本家の退職金債務であり、代表者に土地建物を支給したことは、退職金債務の代物弁済であり、有償譲渡ということになる。
無償譲渡を土台に譲渡益を生ぜじめるのではない。代表者への退職金支給は、土地建物に市場価格という価値属性を付与されて行われ、 退職金支払債務の全部又は一部の支払いに充てられる、すなわち有償譲渡であり、土地建物の帳簿価額と時価との差額については、その借方科目は、退職金である。
資産は所有するだけでは現金留保を産まない。譲渡益は、労働の疎外によるものであり、キャピタルゲインではない。
退職者は、現金という搾取の源泉となるものではなく、産業資本である土地、すなわち投融資を受けて金融資本家に搾取される関係、価値は実体がないから、土地を売却したとしても、金融資本家との資本関係、所有関係、経済関係、生産関係により付与された価値と同額以上の現金が取得できるとは言えない土地を退職金に労働力、功績という属性を与えて実体化あるものとされ、金融資本家にその資本関係、現金留保義務によって時価という属性を退職金債務に付与され納税によって実体あるものとして、土地が与えられ、土地に付与された価値属性を実体あるものと社会に認めさせたのである。
全資本家に投融資する資本家が負わざるを得なくさせられた経済関係生産関係に基づいて、退職金支給額が、過大か否かが金融資本家の資本関係から問題とされる。

