法人は、法人の決算上の利益金額(又は欠損金額)基礎として、別表四を使用して、税法所定の申告調整を加え、所得金額を計算することが義務付けられている。
別表四は、損益計算書の役割と、申告調整事項の内、資産、負債の帳簿価額の増減に関係があるものにつき、振替仕訳を行って別5(1)に転記する役割をしている。
よって、下記の税務上の仕訳は決算書上では行わず、別表四、五(1)上で調整したところを仕訳で示したものである。
当期の決算、申告書の作成を行う過程で、当期の売上計上洩れを把握した場合で翌事業年度に計上されている場合、現実の実務においては、決算修正を行う。申告書上で売上計上洩れを調整するのは、申告書提出した後に修正申告を行う場合である。
(1)当期の処理
税務上の仕訳
(借)売掛金 (貸)売上 (別表四 加算留保
(2)翌事業年度の処理(①or②or③)
①決算書上の経理処理 行わない。
別表四 減算留保
②決算仕訳
(借)売上 (貸)前期損益修正益
別表四 減算留保
③決算仕訳
(借)売上 (貸)繰越利益剰余金
別表四 処理なし
[関係条文]
法人税法22条
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2. 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3. 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は別段の定めがあるものを除き次の金額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これに準ずる原価の額
ニ 前号に掲げるものの他、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度の終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4. 第二項に規定する当該年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。
内国法人は、各事業年度終了の日の翌月から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
一 当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額
二 前号に掲げる所得の金額につき、前節(税額の計算)の規定を適用して計算した法人税の額
三 第68条及び第69条(所得税額等の控除)の規定による控除をされるべき金額で前号に掲げる法人税の額の計算上控除しきれなかったものがある場合には、その控除しきれなかった金額
四 その内国法人が当該事業年度につき、中間申告書を提出した法人である場合には、第2号に掲げる法人税の額から当該申告書に係る中間納付額を控除した金額
五 前号に規定する中間納付額で、同号に掲げる金額の計算上控除しきれなかったものがある場合には、その控除しきれなかった金額
六 前各号に掲げる金額の基礎その他財務省令で定める事項
2. 清算中の内国法人につき、その残余財産が確定した場合には、当該内国法人の当該残余財産の確定の日の属する事業年度に係る前項の規定については、同項中の「二月以内」とあるのは、「一月以内(当該翌日から一月以内に残余財産の最後の分配又は引渡しが行なわれる場合には、その行なわれる日の前日まで)とする。
3. 第1項の規定による申告書には、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他財務省令で定める書類を添付しなければならない。