[事実関係]

 東京地裁は、英国領バミューダ諸島に組成されたLPSが日本の租税法上における法人に該当せず、納税義務を負わないとして、税務当局が行った法人税決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分を取り消した(東京地判平成24年8月30日税務通信3233号(2012年10月15日))。

[解説]

 外国法に準拠して設立させた事業体が日本の法人税法における法人について、判決は、構成員の個人財産とは区別された独立した資産を有するかは、法人に限らず、任意組合等にも当てはまるとし、法人とそれ以外の事業体を区別する基準とはなりえないとする。

全ての資本は、経済利益、経済利益の土台となる資産については、その自由意思に関係なく、任意組合名義であっても任意ではなく、登記をはじめとする法律行為を媒介に社会に認めさせることに成功させざるを得ない。

このことは、名古屋地判平成23年12月14日デラウェアLPS判決のような資産を信託した場合における受託法人の資本家についても言えることである。

利益が、その土台となる資産が、資本家、労働者を規定する。資本家、労働者が利益や資産に従属せざるを得ない。任意組合も法律行為を媒介としたプロセスを通じて労働者や他の資本家の利益を排除して経済利益を法律上の権利とすることに鑑みれば、法人税法上の法人として決算を行い、利益、所得を確定して確定申告を行わざるを得ないであろう。

法人税が構成員に転嫁されることがあったとしても、法律上の権利取得のプロセスに鑑みれば、構成員の配当課税と組合の法人税課税が行われたとしても二重課税の問題は成立し得ない。