[事実関係]

 所得税の修正申告を提出した納税者が加算税の賦課決定処分を受けたことにつき、

裁決は、調査があったことにより更正処分があるべきことを予知してされたことの判断は、国税通則法65条5項のの文言及び趣旨から調査の内容、進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うべきとして、調査担当職員からの確認依頼を発端に決意したものと指摘し、関与税理士からの調査依頼、調査通知文書を受取り、情報交換制度を利用するなどにより国外所得に係る調査が進行中であり、更正される可能性が高まったと認識したと認定した(平成24年1月24日裁決)。

[解説]

 納税者が予知したか否かというのは国家すなわち全ての資本家を所有する資本家の観念であり、実体が存在しない。国家を所有する資本家が行う課税処分に至る手続の過程と納税者が知っていた更正がなされ得るとする理由とが一致していたかを確定することは成し得ない。

更正処分も加算税の賦課決定処分もこれら手続きも納税者の利害を排除するものであるから、国家を所有する資本家は、経済上の全ての事実関係を把握して問題提起をしてその確定を行う義務があるのであって、事実関係の確定に納税者の心理を持ち込むことはできない。

租税回避の意図、脱税の意図を更正処分や加算税賦課決定処分の要件とすることはできないと考える。修正申告を提出する法人は、国家すなわち全ての資本家を所有する資本家との資本関係、経済関係上、修正申告をせざるを得ないから、修正申告を行っている。

修正申告をするしないに自由意思は存在しない。自主修正なるものは存在し得ない。当初申告における所得金額が現実の搾取利得と乖離していることを土台として加算税が課されたという見方が成立し得るのである。