[事実関係]

持株会所有の株式により代物弁済を行って貸付金を消滅させた場合、取得株式に対応する債権の内、資本等の金額を超える部分の金額を原処分庁が配当として認定し、源泉所得税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を行ったことにつき、裁判所は、判決は、持株会を民法上の組合と認定し、株主の地位に基づき、代物弁済により借入金債務の消滅利益が発生しているとして原処分を維持した判決がある(大阪地判平成23年3月17日)。また、判決は、取得対象とされた自己株式に対応する資本金用の金額との間で比較対象とすべきものは、株主等が交付を受けた金額であり、法文上、取得の対象とされた自己株式の時価を比較対象にみなし配当金額を計算すると解する余地はないとした。

[解説]

労働者に株式を取得させ資本関係を土台に労賃搾取に加担せざるを得なくする。

給与でけで株を取得すれば借入をせざるを得ない。

労働者に株式を支給して、業績の悪化、資金不足を方便に賃金を搾取を正当化しうる関係の創設である。

資本家は、福利厚生費を負担するのではなく、従業員持株会に貸付けを行って、労働者との間に利息という方便による搾取を行い得る経済関係、資本関係を創設している。

福利厚生は資本家にとって効率の悪い投資であるから、貸付金を引き揚げる。

資本家は、福利厚生の危機という方便を用いて従業員から搾取の源泉となる株式を取り戻して労賃搾取を強化する。

貸付に関する経済利益を自由意思の介在することなく法律を媒介に社会に認めさせることに成功したとみれば、借入金は返済せざるを得ない義務である。

代物弁済による債務の消滅という経済関係資本関係が存在する。代物弁済も借入金債務を土台とし、自由意思に基づくものではないから、代物弁済の目的は問わない。

貸付けを株式の付与という形で行ったのであれば、借入金債務は株式の時価の金額であるが、金銭で貸し付けたのであれば、借入金債務の金額は現実に金銭で支給された金額である。

借入金の返済を受けて法人資本家は、自社株を内部留保蓄積額を土台として資本関係を所有することとなる。

配当金額は、労働者搾取による内部留保をの蓄積を土台に、株式に属性を与えた時価による金額から、搾取された金額を労働者に交付しうるから、交付金額によって労働者は生存を維持するから、労働者に現実に交付された金額との法人資本家からの借入金額との差額である。

しかし、生産関係上、労働の対価として株式が支給されている場合には、借入金債務に基づく代物弁済を土台とする金銭の交付金額と労働者の株式の取得価額との差額は、給与の資本家への前貸しによる利息ということになり、使用人給与であるとする見解も成立しうると思われる。