換算レート、株価、インフレ、デフレ、需要と供給、融資先の内部留保、資金繰り、融資先の信用によって内部留保が規定されるのではない。貨幣を多く刷って、多く貸せば貸すほど儲かる。借主が清算せざるを得なくなろうが、金を多く刷らなくても多く貸出しをフィクションすれば儲かるのである。

複雑な経済学を簡略化しているわけではない。現実に金融資本家は産業資本家であろうと労働者であろうと、どんどん金を貸したことにする。金融資本家との間の資本関係、経済関係により、労働力、生産用具、機械設備、有価証券、保険商品を購入せざるを得なくなり、再び金を借りたり、投資のフィクションを受けざるを得なくなる。

産業資本家、労働者は、金融資本家や株主に利息や配当をせざるを得ないから、子孫を作って、又は関係者を使って子孫又は関係者に借入返済又は配当原資を作らざるを得ない。金融資本家は、投資先の労働者も含めた自己所有の使用人を搾取して内部留保しなければ、産業資本家の買収を媒介に搾取の源泉である労働力を収奪され、他の金融資本家に紙幣発行銀行を所有され、投融資を受けざるを得なくなり、産業資本家となって、生産手段を購入して、再度投融資を受け、返済を続けなければならなくなるから、子孫を作って又は関係者に資産を移転して内部留保の蓄積を行わざるを得なくなる。

所有資産の移転の内、贈与は、見返りを求めることのない無償の給付とされるが、子孫に資産を移転する場合も、それは本能によって行われるのではなく、家族の絆、血縁といった唯心論に基づいて行われるものではない。資産を無償で与えるというのは方便であって、贈与という属性が与えられたものは、資本関係、経済関係、生産関係の維持、それらを土台にした階級の固定化という義務を課すことによる投資と見ることができる。資産を移転した側が得て、所有している労働者からの搾取利得を、同族関係者又は関係者に移転の原因土台となった経済関係生産関係なしに移転して所得を減額していることから、資産を移転側の所得であると法を媒介に認めさせ、それを土台とした租税義務を、納税義務者が死亡しても免れ得ないということを、国家を所有する資本家が法を媒介に認めさせたのが相続税で、その先取りが贈与税と見ることができる。国債の発行による利息支払が、租税の先取りと言われることがあるが、国家は全ての資本家の集まりであり、租税は、全ての資本家を所有する金融資本家が利息や配当の先取りと見ることが可能となる。