不動産貸付業を行う納税者が、その者が所有する物件を賃借しているテナント代表者及び当該納税者がかつて勤務していた金融機関の後輩をゴルフ接待をしたことにつき、原処分庁が接待交際費の計上に偽りその他不正の行為及び隠蔽仮装があったとして所得税、消費税の更正処分、重加算税賦課決定処分が行われ、裁決も接待ゴルフの費用は、業務の遂行上直接関連のない費用であるとして審査請求を棄却したという事例がある（平成22年4月22日裁決）。
請求人は、賃貸物件の補修の必要性や家主に対するクレームを把握し、それに対応して優良テナントに長く貸し付ける目的で、接待ゴルフを行い、金融機関から情報を入手し、不動産購入を容易にし、購入資金の融資を有利になるように、金融機関に勤務していた時代の後輩を接待したものであると主張したが、裁決は、請求人が接待を行ったとする相手の内、実際にプレーしたと事実認定をした者につき、テナント所有者からの賃貸物件の補修の必要性やクレームの把握に、ゴルフ接待が必要であったとはいえないとし、金融機関勤務時代の後輩から間接的に不動産貸付業に有益な情報が得られることがあったとしても、接待ゴルフが業務上必要であったとは言えないとした。
裁決は、請求人と女子プロゴルファー二人又は、請求人が接待ゴルフと主張する場に女子プロゴルファーを同伴させていたことについても、家事関連上の支出と認定した。請求人は、ゴルフに招待せざるを得ない原因となる投融資を受けているという資本関係、経済関係が、金融機関との間には存在しうるが、テナントとの間に存在しておらず、所有建物や維持管理し、テナントの労働者を搾取を継続しているという関係にあり、専ら経済関係を土台としない方便上の目的に基づいてゴルフ行ったこと主張したことにより、業務上関連のない費用と認定されたのである。ゴルフをせずに、補修が必要であることやクレームについて、不動産情報、融資の問題については、電話やメール、会談を行えば足りることである。
