[事実関係]

 宗教法人が葬儀を行い、その他に管理料、永代使用料、位牌の公布代としてペットの飼い主から料金表で定められた金銭を受け取ることが、法人税法2条13号の収益事業に当たるかが争われた事例がある(最判平成20年9月12日)。

[解説]

 最高裁は、対価性、他事業との競合可能性、社会通念から収益事業に当たるとした。人間の葬儀であろうと、人間以外の動物の葬儀であろうと、おみくじ販売であろうと、神前挙式であろうと、宗教法人が行った役務について、代金を支払わざるを得ず、支払いは役務提供を受けた者の義務である。宗教法人についてだけ、他の事業と競合するか否かを基準に収益事業か否かを決定することは、現実の経済関係から乖離し、詭弁である。

他の事業と競合関係ない事業であれば、公益法人であって課税を免れるというのであれば、殆ど独占事業である電力会社は課税を免れてしまう。しかし、独占事業であっても、収益を得て、労働者からの搾取利得を得ていれば営利事業であって、課税が行われる。

宗教法人に、全ての法人、個人の事例について言えることであるが、社会通念は、土台となる経済関係の上層にある唯心論や暴力に基づくもので、戦時下の意識や世論に基づいて、経済を規定すれば、人民の生命身体、その土台となる経済は破壊される。

資本家は、宗教を媒介に、資本家に対する批判を鎮め、資本家が出産を強制したり、戦争を行わせることによる内部留保を正当化させ、死をもって資本家に命を捧げることを美化し、人民に問題提起を忘れさせてきた。

宗教法人は、3S政策、すなわち、セックス、スポーツ、スキャンダルや麻薬の売買を引き受けた法人の資本家と同列に扱われる収益事業である。資本家は、宗教家に投資し、経済上の特典、税法上の特典を与えてきた。