[事実関係]

 料理教室を営む法人が卒業パーティにおいてその出席者に供与した昼食等の費用を広告宣伝費に計上したところ、課税庁が交際費等に該当するとして更正処分を行ったことにつき、裁決は、免許の授与を行う場であること、規模の拡大に伴い、会場をホテルにしていること、遠隔地からの出席者もいること、昼食の範囲は、社会通念上の範囲内で、酒類の提供も儀礼としてのもの、事業関係者との関係を密にして取引関係の円滑な遂行を図る目的ではないことから交際費等に当たらないとしたものがある(平成20年4月25日裁決)。

[解説]

 出席者に提供した昼食代は、金融資本家、生徒の就職先の大資本家、政治家、多額の寄付をしてくれた生徒の親族に資本関係、経済関係を土台に、場所を変えたりして、特別豪華な食事を出したりとか、又は、当該飲食によって、支出側の意図に関係なく、資本関係、経済関係が創造されうる水準の金額でなければ、交際費ではないと言いうる。

金額で交際費か否かを考えることは、形式で区分することとは違う。社会通念の問題でもなければ、儀礼の問題でもない。金額は、経済関係を構成する要素である。同じ金額であっても、低所得者と大資本家とでは、労賃搾取のプロセスにおける、享受した経済利益の経済に占める割合の大きさは異なる。心理に与える影響の問題ではない。

大資本家に低所得者と同じ金額の経済利益を供与しても経済関係、資本関係は構築しえないのである。大資本家には、その資本関係、経済関係から高額な経済利益の供与を行わざるを得ないのである。