[事実関係]

内国子会社が0%から、30%までの税率を選択することによって納税を行うことができるガーンジー諸島の所得税法に基づいて納付した納付額が日本税法でいう租税に該当するか否かが争われた事例がある。第1審は、ガーンジー諸島に納付した税額は租税に該当しないとし、控訴審は、タックスヘイブン対策課税回避のサービスの対価として国側を勝訴させ、最高裁は、租税に当てはまらないとはいえないとして納税者を勝訴させた(最判平成21年12月3日)。

[解説]

タックスヘイブンは、金融資本家が当該地域に自治領という属性を与え、自らが蓄積した内部留保を移転して、移転した経済利益を、タックスヘイブンに別個の法を創造し、商法上の行為を媒介に社会に認めさせてきた。

発展途上国という属性が与えられた国家が外国からの投資を待って軽課税にしているのではなく、金融資本家が、当該国家に投融資して、金銭を使わせ、利息、配当名義、事業成長の内部留保という名義で労働力から搾取をしていることが原因である。

現実には、源泉地国に所在する労働者が海外資本家の税金を負担していることとなる。投融資されたことにより、資本関係に基づき、労働者を搾取して内部留保を蓄積せざるを得ない。各納税者は、タックスヘイブンを所有する資本家との資本関係、経済関係により選択の自由意思があるわけではなく、いずれかを選択せざるを得ない。

当該租税収入を原資に生産手段を購入し、戦争という疎外労働を行わせ、金融資本家から投融資を受けさせるのであるから、タックスヘイブンにおいて納付された金銭は、租税すなわち国債の返済ではある。二重課税という方便により、源泉地の労働者から搾取しているという経済関係、資本関係、生産関係が問題なのである。

みなし外国税額控除は、源泉地国において納税していないことを通じて、源泉地国に所在する労働者を搾取するばかりでなく、納付していない税額が日本の資本家に還付されることにより、日本国内に所在する労働者が搾取されるという、消費税の輸出売上に基づく還付の問題と共通の問題がある。