資本金1億円以下の中小企業者等は、2008年4月1日以後に開始する事業年度、すなわち、2009年3月に生ぜじめた欠損金から9年間の繰越が可能となった。この欠損金の繰越控除については、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類を保存している場合に限って適用されるとある(法法57-1)。帳簿の保存期間も9年に延長されてしまったのである。法人税の純損失については、資本家所有の9年間更正処分を行うことができる。納税者が更正の請求を行った場合には、9年分質問検査されうるのである。搾取される労働者のみから成る所得のない中小企業者にも、大資本家は課税庁を媒介に襲いかかる。納税者の側の証明義務、負担が拡大されたのである。中小企業者にあっては、保管スペースの問題もあるし、倉庫を借りる金もない。紙媒体でなく、パソコン保管にしても、提示の際に質問検査に関係のない事実についても情報が流出するという問題もありうるのである。