国際金融資本の使用人たる国税庁によると2011年の1年間に得た一人当たりの給与所得は、409万円で前年比0.7%減とのことである。給与の水準は1989年のレベルであるとのことである。

しかし、源泉所得税は、源泉徴収の人数、総額とも増加したという。国税庁は、全国20万の事業所28万人の役員、使用人を抽出して全体を推計したという。労働者は、資本家から搾取されているばかりでなく、資本家から未払いなっている給与についても源泉所得税は負担させられている。

現実の経済においては、貸付利息、株式、公社債といった労働者からの搾取利得の購入者が、出資する。国家を株式会社とみれば、労働者や公務員や政治家を所有することによる利得を得る資本家が、これらの者との生産関係、経済関係、資本関係に基づき、国家に出資、すなわち税金を負担することになる。

生産手段を持たず、国家との生産関係、資本関係、経済関係を所有していない労働者が事業年度末を待たずに毎月税金を先取りされているのである。日本、アメリカ、ドイツ何れも、源泉徴収については戦時立法である。最判昭和37年2月28日は、行政側の徴収手続きの簡便、効率、納税者側の煩雑な申告納付事務を免れ、合理的且つ公共の福祉の要請に応えるものとして合憲であるとしているのである。税実務の世界においても、資本家の内部留保の蓄積による事業存続拡大、事業承継、金融投資競争ばかり優先されて労働者の生存、生存の土台となる経済については問題とされないのである。しかも、事業存続、資本競争を訴え、労働者搾取を唱えるのは、内部留保の厚い法人の大資本家である。