第三者割当増資と取引について問題となった事例としてオウブンシャホールディングの事例がある(最判平成18年1月24日)。
オウブンシャホールディングは、テレビ朝日株式及び文化放送株式を既に取得していたが、これらの株式と現金を出資してオランダに100%出資の子法人アトランティック社を出資した。
この際、オウブンシャは、平成10年法律第24号による改定前の法人税法51条1項に規定する特別出資に該当するとして、前記株式の現物出資について、出資の段階での帳簿価額と時価の差額を圧縮記帳して課税の繰延べをしていた。
オウブンシャの筆頭株主であった財団法人センチュリー文化財団は、平成7年2月13日、オランダに100%出資の子会社であるアスカファンド社を設立した。
これらの会社、財団の役員は、オウブンシャの創業者一族が兼務していた。
アトランティック社は、同日、3,000株の新株を発行し、これをアスカファンド社に割り当てた。この際、アスカファンド社は、アトランティック社に303万ギルダー(約1億7,600万円)を支払っている。これにより、オウブンシャのアトランティック社の出資割合が100%から6.25%に低下した。
アスカファンド社が払い込んだ1株当たりの金額は、それまでのアトランティック社の1株当たりの評価を大きく下回るものであったから、この新株発行により、オウブンシャからアスカファンド社に資産評価額(課税側の主張では、256億円。差戻後控訴審は、約222億円と評価)の移転が生じた。オウブンシャがアスカファンド社から対価を得ることはなかった。
裁判所は、下記のように判示した。
オウブンシャは、アトランティック社の唯一の株主であったというのであるから、第三者割当により同社の新株の発行を行うかどうか、誰に対してどのような条件で新株発行を行うかどうかを自由に決定できる立場にあり、著しく有利な価額による第三者割当増資を同社に行わせることによって、その保有する同社株式に表章された同社の資産価値を、同株式から切り離して、対価を得ることなく第三者に移転させることができたものということができる。
そして、オウブンシャが、アトランティック社の唯一の株主という立場において、同社に発行済株式総数の15倍の新株を著しく有利な価額で発行させたのは、オウブンシャのアトランティックに対する持株割合を100%から6.25%に減少させ、アスカファンド社の持株割合を93.75%とすることによって、アトランティック社株式200株に表章されていた同社の資産価値の相当部分を対価を得ることなくアスカファンドに移転させることを意図したものということができる。
また、前記事実関係等によれば、上記の新株発行は、オウブンシャ、アトランティック、アスカファンド及び財団法人センチュリー文化財団の各役員が意思を相通じて行ったというのであるから、アスカファンド社においても、上記の事情を十分に了解した上で、上記の資産価値の移転を受けたものということができる。
以上によれば、オウブンシャの保有するアトランティック社株式に表章された同社の資産価値については、オウブンシャが支配し、処分することができる利益として明確に認めることができるところ、オウブンシャは、このような利益を、アスカファンドとの合意に基づいて同社に移転したというべきである。
したがって、この資産価値の移転は、オウブンシャの支配の及ばない外的要因によって生じたものではなく、オウブンシャにおいて意図し、かつ、アスカファンドにおいて了解したところが実現したものということができるから、法人税法22条2項にいう取引に当たるものというべきである。
[解説]
金融資本家が株式、公社債の市場価格と株数を決定し属性を込めることを続ける。自らの所有する資本関係が買収されそうになれば、せざるをえなくなりうれば、オンライン上で架空の貨幣や有価証券を増刷し貸出量を増やす。
発行投融資を受けている金融資本は、自らに投融資している別の資本家との資本関係から、自らの投融資先の労働者を搾取して内部留保を蓄積し、自らを生存させられざるをえない。
金融資本家が所有する株式を高く売り、購入した産業資本家を資金不足に陥らせ、そこに資金を貸付け、更に資金繰りを悪化させ、産業資本家に投融資して産業資本家を資金不足にさせたり、業績を悪化させ、低価で当該資本家の株式及び株式発行法人が所有する株式を買い取る。産業資本家を清算させて、投融資した側の法人に税金を投入させ、国債を発行させて、それを有利な価格で購入しうる経済関係を創造する。
労働者を搾取による利得という清算関係、経済関係の所有が移転する。配当によって得た額も搾取することの方便であるから、資本等取引とする主張は詭弁である。
譲渡する側の資本家と譲受する側とその者に投融資している金融資本との資本関係、生産関係、経済関係から譲渡価額が決定する。日本の行政は、ユダヤ国際金融資本がコントロールしているから、国際金融資本が決定した市場価格すなわち属性付与に基づいて取引価格さらに所得が確定する。
第三者割当が、無償による譲渡に該当するのか、その他の取引に該当するかが訴訟において問題となっているが、オウブンシャホールディングを所有するセンチュリー文化財団との資本関係により、自由意思に基づいてオランダのアトランティック社の株式について、労働者の代表である役員は、新株発行するしないや譲渡するしないを決定しえない。財団の出資者がオウブンシャの創業者親族であっても、登記、税務申告するしないに自由意思はないから別個の法人、事業者である。租税回避の意図の問題も成立しえない。
アトランティック社の現物出資については、朝日と文化放送の株式について出資時の帳簿価額と時価との差額を圧縮し、課税の繰延を行っていたから、アトランティック株の取得価額は、朝日と文化放送株と等しい額になる。
ユダヤ国際金融資本との資本関係により、日本の資本家は、必ず、市場価格で課税されることになっている。オウブンシャが所有するオランダ子会社アスカファンドは、その資本関係から、アトランティック社の株式を土台とする資本関係、経済関係、生産関係を受け容れざるをえない。第三者割当を受けざるを得ない。
当事者間の合意すなわち意思の合致云々は取引や譲渡の関係が存在したか否かについて言うとき、問題として成立しえない。取引については、資本関係、経済関係、経済関係を土台に、労働者搾取の源泉となる資産、権利の移転、役務提供について交換せざるを得ず、現実に現金をはじめとする搾取の源泉たる資産、内部留保を留保するか損失するかであると言いうる。
オランダ子会社は、規定された時価を支払わずに現金が留保されたままであり、資金繰りを不足させアメリカ資本家の内部利益の蓄積に貢献しなかったから、その分アスカファンドは所得を得ていることになり、オウブンシャも金融資本との資本関係に基づき、労働者からの搾取利得を取得しうる関係を実体化していたという既成事実があること、アスカの所得がオウブンシャとの資本関係に基づき、オーブンシャの資本に割当てられたとみることができる。
アトランティック社株式の取得価額がオウブンシャの帳簿に記載されていないとの問題提起があるが、株式が突然空から降ってくるわけではないから、現実に取得に要した金額、疎外労働が転嫁された架空商品の評価を株式の取得価額にして第三者の割当てた部分に相応する部分の金額と譲渡価額の差額が利得又は損失ということになるであろう。損失は、労働者に転嫁されており、利潤は、投融資をフィクションしている国際金融資本に蓄積される。無償取引ではないのである。
労働者は、労働を疎外されているにもかかわらず、利潤を享受したかのようにフィクションされ、フィクションされた国債を負担させられる。
国際金融資本は、現実の経済関係ではないものを実体化させている利潤を得ている以上、利潤に課税を免れることはできないのである。現実の経済関係からすれば、負担する義務は、国際金融資本にある。現行法人税法61条の2はそれを認める。高裁のいう合意という実体のない観念があったからではなく、擬制があったからではないのである。