[事実関係]
ニュージーランドの金融資本家が、クック諸島の全額出資子会社を設立し、ニュージーランドの連結法人税の適用外とし、りそな銀行(当時大和銀行)を媒介にクック諸島の28%所有法人に年利10.85%で貸付を行い、全額出資法人が利息源泉を支払い、クック諸島28%所有法人から預金をりそな銀行が受け入れ、預金利息については、りそな銀行は、全額出資子会社から受けたとき、その金額にっクック諸島源泉税を加算し、手数料名義の一定の利息計算に基づくマージンを差引き、28%所有法人に支払ったという取引につき、一審、二審は、当該取引について銀行の事業目的内の行為として銀行の外国税額控除を認めたが、最高裁は、当該取引による外国税額控除は、外国税額控除の趣旨に反するとしているとして銀行側の外国税額控除を否認した(最判平成17年12月19日)。
[解説]
資本家が、その所有する国家を使用して課税しうる経済関係にあるかについて言うとき、意思は方便であり、契約の意思など重要ではない。租税回避の意図は重要ではない。外国税額控除の規定の適用が否認されることを知っていたか否かという唯心論は関係ない。
法律は経済が規定する。法律は、資本が規定する。人の気持ちが規定するのではない。人の弱さを克服する手段でもない。
法律上の利益は、資本家が、資本関係、経済関係、生産関係を土台に土台における事実関係を全て摘出することを放棄して力づくで法を媒介に社会に認めさせたものであり、外国税額控除の趣旨目的も重要ではない。政策目的も重要でない。税負担の軽減を確定するのは人ではない。人は税負担の軽減を判断しえない。税負担の公平の問題でもない。
りそな資本家、クック諸島法人の資本家においては、利子所得が現実に存在する。全ての取引は、金銭が主人で、金に基づいて事業者は利益を得る。劣後金融資本家や産業資本家が金銭資本家との資本関係に基づいて経済を行う。所得が人に帰属するのではない。金融資本家間の取引は、取引先労働者との経済関係に基づいて行われる。労働者は金融資本家との生産関係に基づいて労働力を提供する。
当該事例につき、資本関係を原因事実に遡っていくと、投融資されている法人及びその取引先の労働者から搾取しているのは、ニュージーランド法人の資本家で、りそな銀行は、中間搾取を行っていることが看て取れる。
資本家には、ニュージーランド法人が投資を通じた労働者からの搾取利得を得ていないとすることは、ニュージーランド法人の資本家が投資をすることについて、どのようなプロセスを経て内部留保を蓄積し存続させているかが説明できないというタックスヘイブンの経済を土台とした税法上の問題がある。
金銭によって、金銭の受取を規定されるのは、金銭を受け取らざるを得ないのは、ニュージーランド法人の資本家である。
方便にすぎない外国税額控除の法の趣旨目的からではなく、租税回避の意図からではなく、べき論からではなく、りそな、クック諸島28%所有法人の労働者との間の経済関係、資本関係からクック諸島全額出資子法人の労働者からの利子所得は、ニュージーランド法人もクック諸島28%所有法人も実在することを法を媒介に認めさせざるを得ないものであるから、クック諸島28%所有法人の所得であり、ニュージーランド法人の利子所得の土台であり、ニュージーランド法人の資本家の配当原資である。
源泉所得税は、ニュージーランド法人が支払い、ニュージーランド資本家の現金が源泉であり、りそな銀行は、当該貸付に関する外国税額控除を受けうる関係とはなりえない。
りそな資本家の収入は、手数料収入である。外国税額の控除枠は、課税控除の土台である所得に属性を与えることであるが、所得さらには外国税額控除の控除枠を対価を得て移転したというのは、評価という属性を込める行為ではなく、事実確定である。
ニュージーランド法人の所得、資本家の配当所得の原資となるものについての源泉税を、りそなの資本家が国際金融資本家とりそな資本家の資本関係に基づいて、国際金融資本家の経済関係を土台に源泉負担に応じざるを得なかっただけで、法人りそなの資本家経済土台を有せずに、支払って外国税額控除を行ったと事実確定を行ったとみることができる。
ニュージーランド法人の資本家とりそなの資本家は、国内外の軍隊を含む国内労働者と現地労働者を搾取してそれぞれ内部留保を蓄積しているわけであり、国際的二重課税の問題は成立しえない。
外国税額控除は、投融資により、資本家の内部留保の蓄積に貢献したことによる恩典である。同一の所得に該当しなければ、二重課税に該当しなければ、外国税額控除は適用しえない。