2011年12月14日裁決により、川崎汽船の資本家は、同法人について行われた調査の方法の違法につき、納税者側の主張を認めさせることに成功した。日本税法において、パナマは、軽課税地域に該当し、適用除外要件に該当する場合を除き、タックスヘイブン対策税制により、パナマに所在する法人は、日本の親法人と合算して申告することとなっているが、パナマ子会社が造船所に支払った船舶の契約価格16億円につき、パナマ法人について法人の体をなしていないと威圧したり、値上げは請求人から要求したのではないかと誘導尋問を行ったとされている。

国をフィクションした国際金融資本との資本関係の有無にかかわらず、全ての事業者の税務調査について言えることであるが、原因となる経済関係を全て提示して、それを土台とした問題提起を全てし尽くすことをやめて、威圧したのでは、現実に労働者からの搾取利得を得ているのはどこかという経済関係から離れた処分が行われうる。

登記するしないに資本家の自由意思が介在しえず、登記が行われていれば、経済上も法律上も当該法人は実在する。関連会社が一体であるとは経済的にも法律的にも言えない。法人は、所得に規定されている、法人は、すなわち、資本関係、経済関係、生産関係から従わざるを得ない。税務調査に限らず、全ての調査研究は、問題となった経済関係の土台となる事実関係を収集していくことで、資本関係、経済関係、生産関係というものが把握できる。これらの関係に基づいて、自己所有の労働者と併せて他の労働者からの搾取利得を得ているのはどちらの資本家か、自社の資本家と他社の資本家から搾取されているのはどちらの労働者かということを調べていく必要があるのである。

タックスヘイブン税制、移転価格税制の既成の手法、問題提起は所得の連結、合算ではなく、利益の存在と経済関係を土台とした利益の配分である。力づくの解決を採らず、租税回避の意図の有無という唯心論によらず、こうした取引法人間の関係からアプローチする方法を採れば、裁決とは異なった結論を導くことも可能であったかもしれない。

2012年3月期の川崎汽船の株主は、日本マスタートラスト信託銀行9.63%、日本トラスティサービスが5.62%と、日本汽船は、ロスチャイルドが所有している。ロックフェラーやロスチャイルドは明治時代から日本を所有している。零細事業者の側にも暴力行為があったことは問題にしなければならないが、アメリカ資本家に従う日本の資本家に反対していた事業者を威圧して行った税務調査についての司法判決がいずれも納税者敗訴に終わり、一部上場企業の資本家について行われた税務調査についての訴えについては、大資本家と行政、司法、国家の資本関係、所有関係、経済関係に基づいて、資本家側の主張を認めざるをえなかったことが看て取れるのである。