損害を負わせた相手方に賠償金を支出したとき、個人事業主の所得計算上の必要経費に、法人の所得計算上、損金算入しうるか否かについて考えるとき、その前提として、現実に、取引先資本家及び労働者又は第三者との生産関係、経済関係において経済的、身体的な損失があったか否か、経済上、身体上に与えた損害が経済関係上、生産関係を土台とする取引に原因があったか否か、民事法、刑事法上の義務に該当するかについて事実関係の全ての把握、経済、その上の法に関する全ての問題提起をして法を適用せざるをえないように思われる。損金算入、必要経費にとどまらず、刑事裁判においても言えることであるが、故意、過失、重過失の有無は、後付けの方便であって、こうした唯心論にその拠り所を求めることは、信義則という唯心論にその拠り所を求めることは、当事者、行政、司法の何れにも、事実関係から乖離した法律行為がなされ、それが社会に認められうるのである。