取引関係のある資本家の中には、経済関係、生産関係を持ち出して、事業と関係のないお願いをしてくる者がいる。ブルジョア政党に投票しろだとか、政治献金を頼まれたり、保険や証券を購入してくれ、借り入れをしてくれ、労働力又は後継者を出産してくれ、など様々な頼み事をしてくる。金で心が買える、金に困ればセックスできてしまうということを知っているからだ。

このような頼みごとについて、その場しのぎや社交辞令でYESを言ってしまったり、相槌を打ったり、愛想を振りまいたり、リップサービスをしてしまったりすると後で大変なことになる。しっかり言質をとられ、依頼をした側が行われたやり取りをねちっこく覚えている。セールスマンや仲介人は、それが成立したとしても給料は上がらないし、解雇されえないということはないのだ。断ったら可哀想などと思う必要はない。

使用人は時間を拘束され、資本家の言いなりになって、使用人からの搾取によって儲けているのであるから、嫌なものは、忌憚なく明確に断った方がよいのである。現実にそれで経済取引を停止されてしまって損害賠償を求められてもそれに応じる必要はない。経済取引が停止されたとしても、使用人は資本家の業務に係る指揮命令に自由意思なく服従しているにすぎないのであって、それは資本家の実務が下手くそだからで、奴隷の道徳に洗脳されているからで、損害賠償に応じることもなければ、業務外の依頼を拒むのを慎む必要もない。退職勧奨や減給処分に応じる必要もない。

しかし、こんな会社の資本家の下で奴隷として生命を削って働く義務などないし、その後そこで得る経済利益など捨てて、失業給付や生活保護を受けながら転職活動をする方が経済的にも上層的にもよいと思われる。失業給付や生活保護に恥であるとか悪であるという属性は備わっていない。資本家も辞めたら行くところがない、経済利益を捨てることができないと馬鹿にしているから業務に関係のない依頼をするのである。退職届を提出して2週間が経過すれば、出勤する義務はない。引き継ぎが未了であることや担当者不在による法人資本家の逸失利益を賠償する義務は退職した使用人にはない。辞めた使用人に代わって仕事ができない資本家がいけないのである。