[事実関係]
最高裁において逋脱犯となりうる「その他従業員」の範囲に、不正経理に加担した使用人も含まれるとの判決があった(最判平成23年1月21日)。
[解説]
しかし、経理担当者は、資本の持分がなければ、労働者搾取とタックスプランニングによる内部留保の蓄積と使途につき、自由意思の介在する余地はない。経理担当者の領得の意図も問題とはなりえない。意思とはいわゆる方便である。資本家との生産関係に鑑みれば、使用人は、社長を媒介に株主からの命令によって動くのである。
架空経費計上による内部留保相当金額を簿外にする。役員又は同族法人であれば役員且つ株主であるから、この者に利益が移転したのであって、臨時の役員賞与又は配当金プラス使途秘匿金ということになるであろう。脱税の際に問題とされる「その他従業員」の範囲は、「その他の」よりも広く解釈されることを社会に認められることに成功しているわけであれば、資本家と労働者の生産関係に鑑みれば、その範囲は無制限ということにはならないであろう。納税義務違反云々が問題となるのは、逋脱犯となりうるのは、資本家、資本家でもある役員ということになるのである。