リミテッドパートナーシップ(LPS) は内国法人に該当するか。

税法上、法人について定義した規定は存在せず、民法上の定義規定を借用してきた。

民法上の法人は、構成員の個人財産とは区別される独自の財産を有する、権利義務の主体となりうる、訴訟の当事者となりうるという3つの要件を掲げる。

外国の事業体については、外国法に準拠して設立し、外国法上法人格を付与されたものを日本の租税法上法人として取り扱うとする。

事業取引を行った者は、それによって得た経済的利益につき、登記によって、他の経済関係の把握、問題点の全体化を放棄して、法律を媒介にして社会に認めさせるという暴力としての側面があるわけで、それに係る義務も放棄できず、登記するしないに自由意思は介在しない。

よって、経済的利益を享受する者と法律上の権利の所有者が異なるということは、経済的利益を法律上の利益とするまでのプロセスに鑑みれば、ありえないのである。法人も構成員も経済上も法律上も各々別個に「実在」するのであって、法人擬制説なるものは、資本家の方便である。
構成員やLPSの金融資本家は、LPSとの資本関係に基づき、LPSが賃借人の労働者から搾取せざるを得なくした利得の一部を配当や利息という方便により搾取してLPSから構成員に利得を移転させざるを得なくさせているという構造があり、構成員とLPSの双方に課税が行われてもそれは二重課税という問題は成立しえないし、株主が、法人の資産として登記された資産に係る利息や減価償却費を計上しえないのと同じく、LPS所有資産に係る利息や減価償却費が構成員個人所得計算上の必要経費とはなりえないのである。

内国法人について定める法律の規定が一般的であることや社会通念を拠り所にした納税者側の主張を採用して、LPSは内国法人に該当しないとする判決が東京地裁(平成23年7月19日)、名古屋地裁(平成23年12月14日)に存在するが、司法は、法律の基準が一般的か明確なものであるかといった法律の規定について審査するのではなく、訴訟当事者間の経済上の事実関係を審査する必要がある。弁護人や裁判官の「べき論」属性論によって、経済的利益の所有者を決めてしまっては、訴訟の原因となった事実関係を土台とした問題提起とは乖離したものとなるであろう。