[事実関係]
ロイヤルティに係る国外関連取引に基本三法と同等の方法を適用して独立企業間価格を算定する方法が相当であるとした事例がある(平成22年6月28日裁決)。
[解説]
基本三法を適用できないことをもって残余利益分割法を用いることは、当該法人の経済関係事実とその上にある問題提起の全体化を放棄した二項対立的な課税方法である。無形資産の価値による利益の配分は、無形資産には価値という属性は備わっておらず、労賃を搾取することの方便から、価値という属性を与えそれを社会に認めさせることに成功したものであることに鑑みれば、現実の経済関係に即したものであるとは言い切れない。更生処分を受けた法人とは別の資本家が権利利益を取得して法によって当該法人の取引の土台となる経済関係を変形させるにしても、内部留保の源泉である労賃搾取という事実を考慮に容れずに利益を配分することは、経済関係から全く乖離したものとなりうるのである。