[事実関係]

平成10年税法改正前の使用人賞与の損金算入に係る裁判例が近年存在する(大阪高裁平成21年10月16日)。

[解説]

旧法人税施行令134条は、資本家が賞与を支払わずに、賞与計上分税負担をも免れ、使用人が源泉分を負担させられたり、支払が未だなされていないにもかかわらず、先に源泉が天引きされて、賞与の支払いが先延ばしにされている間、使用人の資金繰りが苦しくなることという生産関係における搾取を土台に賞与の支払いと通知のあった日の属する事業年度の遅い方を使用人賞与としていたのであって、法人税法65条にいう政令への委任の問題というよりは、法人税法22条3項の債務確定の規定とは別の土台に基づく規定とみることが出来るのではないかと思われる。