移転価格として確定した部分については、その金額を限度に内部留保金額が新たに確定し、新たに確定した内部留保から移転した金額の一部又は全部は、みなし配当とする見方もありうる。新たに出資して搾取を続け、内部留保を再生産するとする見方もありうる。新たに貸付けを行って利息という方便により搾取をするという見方もありうる。

しかし、内国関連会社間の配当について、源泉徴収も行われず、受取配当も益金不算入とされていないこととしている国が存在するばかりか、国内外の関係法人間の配当について、源泉徴収も行われず、益金不算入となっているケースもある。租税条約により利息が軽課税又は免税となっているケースもある。これでは、搾取による内部留保を原資として利益を受けているにもかかわらず、課税を免れることとなる。出資や貸付けと見ることは、当該資産譲渡や役務提供取引についてのみ言えば、搾取して内部留保を蓄積していることには変わりがないが、持株会社や金融会社でない限りは、現実の経済関係とは別個の経済関係を創設することである。資産の譲渡、役務の提供を媒介に労働者を搾取しているとするのが関係会社間の経済関係に即した見方であると思われる。