法律上同一の法人である事業所に係る同一所得に対して複数の国が主権国家としての課税権を行使する場合に問題とされるのが法律的二重課税の問題とされ、親子会社は経済的に一心同体でであるとして同一の所得について複数の課税が行われるという経済的二重課税とする論者がいる。
法人は、資本家の命令により、設立登記を行うことによって、労働者からの搾取をはじめとする経済関係を創設する権利、経済上の利益を法律の上でも取得し、それを社会に認めさせるのであって、登記するしないについての自由意思はない。親子会社は経済的に一心同体であるとは方便であって、各々が独立した法人である。一方の法人が増額更正により課税を受けることとなっても、当該法人を管轄する課税庁すなわち資本家との間の経済関係が変形させることに成功しただけであって、親子会社間の債権債務、その土台となる経済関係すなわち一方の法人の資本家が他方の法人の労働者から搾して内部留保を拡大しているという経済関係は変形させておらず、経済的にも私法上も利益を受けているのである。
よって、親子会社の場合において問題となりうるのは、法律的二重課税の方である。一方の法人が当該法人を管轄する税務当局により増額更正処分を受けていても、他方の法人について、その法人を管轄する税務当局が、土台となる経済関係を見て減額更正をしなかったとしても、自らが事業を行っている地域の警察、軍隊を使用して内部留保を蓄積しているのであるから、そこで税負担をしたとしても二重課税とはなりえない。