資産の譲渡、役務の提供があった時点では、これらを受けた方も支払った者も、搾取が実現し、配当の原資となる内部留保額は確定する。しかし、資本家は、他の産業資本家、金融資本家との経済関係により、株主に全額分配せずに配当原資を内部留保して搾取を繰り返すことにより内部留保を再生産する。内部留保総額が確定するまでは、再生産に内部留保を回すことができない。資産の引渡し、役務提供があった時点では、配当に充てることのできる金額は確定するが、個々の株主への配当金額は確定していないから、また、再生産に回した部分に基づく売上金額が確定させていないから、内部留保累計額を全額配当として課税することができない。契約上の仕入金額、役務提供の対価と課税庁の主張する独立企業間価格との差額は、資産の引渡し、役務提供があった時点では、内部留保の再生産を止めない限り、内部留保累計額を全額配当とすることは困難であると思われる。株主総会によって、配当金額を確定させ、その確定した金額を限度に経済関係上、経済関係を土台とした法人税法上配当金課税が行われうる。