資産に係る控除対象外消費税額は、発生年度において損金経理を行うことは困難であるとの実務からの指摘により、前事業年度の課税売上割合から損金経理額を見積もるなど合理的な方法であればそれを認める方向である。しかし、前事業年度と当事業年度の事業における前提条件が必ずしも同じであるとは言い切れず、前年度実績による見積りが当期の経済実体からかけ離れたものとなりうる。また、改正前においても、控除対象外消費税の損金経理に係る計算については、課税売上割合95%未満の事業者のケースや課税売上80%以上の事業者のケースにおいて行ってきており、仮払消費税が全額控除できない課税売上の基準が95%以上になったからといって、別途手間がかかるようになるとは思われない。このことは、実務家自身が最もよくわかっていることであり、現実には、大口の資本家からの圧力によって、税理士が資産にかかる控除対象外消費税の損金経理ができないなどと方便を宣って前年度実績による見積りによる有利計算を認めさせたと見ることができる。