法人税申告を行うとき、必ず使用する用語に留保、流出というものがある。法人税の文献を見ても説明されていないか、説明があっても辻褄合わせの説明しかなされていないことが多い。

留保とは、内部留保のことであり、搾取に基いてく内部留保した金額であり、資本すなわち新たに反復して搾取の源泉となりうる現金並びに資産の留保である。事業者間の取引における経済関係と納税者と課税庁の間の経済関係が異なることにより、ここでいう法人税及び法人地方税算定の土台となる内部留保は、一事業年度の税額を確定させる前の、当該「事業年度末日現在」の内部留保金額で翌期以降現金で支払うこととなる金額を含んでおり、未だ、税額が確定されていないのであるから、税額を確定させるまでは、納税充当金として処理した金額は飽く迄、見積り金額であって、費用損失として確定していない、仮払金である。

法人税でいう内部留保とは、税金計算前の内部留保のことを言うのであるから、納税充当金は、税引後の利益に加算する必要がある。納税充当金の内の未払金額を支払うのは、当該事業年度末日ではなく、翌事業年度に入ってからであって、当該事業年度末現在は、現金で内部留保されている。納税充当金に含めた当該事業年度中に支払った中間法人税納税額は前事業年度実績により見積もった、当該事業年度の経済関係から離れた仮払金であるから暫定的に現金を流出させてもこの段階では、返還不要は確定していないから、申告書上は、加算・留保となる。

源泉所得税の金額は、前払金であり、前期確定法人税は、未払金の精算である。中間法人税は飽く迄見積りであるのに対し、利息や配当に係る源泉所得税は、利息や配当の金額がその支払い時には既に返還不要が確定していることに基づいているもので、その部分に係る税額は一度確定しており、当該事業年度トータルの税額の一部を構成するものであるから当該事業年度の税額計算の際には税引後利益に加算する必要はあるが、決算書上も現金が流出し、留保から控除しており申告時すなわち翌期に支払う必要がないから、決算書上は、租税公課勘定が建ち、前払金の減という処理になる。申告書上は、加算・流出となる。

中間法人税の還付は、仮定上の金額の還付であり、源泉所得税の金額は、確定した金額の還付である。前期確定法人税は、前期の所得が確定したことに基づいた金額である。それを支払った時点で精算完了で、翌期以降それに係る現金を流出させる必要はないから申告書上は、調整不要である。一旦、仮払処理をしておいて、当該事業年度中に役務提供を受け金額が確定した経費については、例えば、決算書上(借)交際費(貸)仮払金となるのであって、当該経費については、当該事業年度の税金計算時においても翌期以降においても現金を流出させる支出はない。これを申告書上で表すと、減算・留保ということになる。

当該事業年度中に役務の提供を受けて、その支払は翌期、すなわち、当該事業年度末日現在は未払いというものが簿外の場合には、翌期以降、現金の流出を行うわけであるから、当該事業年度末現在は、現金は内部留保されているから、申告書上は、減算・留保となる。収用等の特別控除は、補助金であり、翌期以降、現金が流入し内部留保が現実になされるから、現金流出減すなわち申告書上は、減算・流出となる。受取配当金の益金不算入は、二重課税の排除は方便で、現実には、褒美であるから、翌期以降の現金流出の減すなわち、申告書上は、減算・流出としているのである。