国税庁の質疑応答事例の中に、蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた事例が取り上げられている。
建物とその付属設備には、価値という属性は備わっていないから、LEDランプに取り替えたことによる建物と建物附属設備の価値が増したか否かは考える必要はないと思われる。考える必要があるのは、資本家が課した内部留保の義務を原因として計画した、建物と建てた当時の、その建物を使用して生産することのできる、資本を転嫁することのできる総数量、数量の算定式を構成する要素の一つである建物を使用することのできる年数である。
これらの数量、使用期間を増すか否かである。蛍光灯をLEDランプに取り替えたからといって、当該建物を使用することによって、労働を疎外し、生産することができる数量が増す訳ではない。よって、この観点からみれば、蛍光灯をLED型ランプに取り替えた場合の費用は、修繕費ということになると思われる。また、LEDランプは、建物の柱、袖看板のフレーム、航空機のエンジンのように建物や航空機本体の重要な部分を構成し、それが摩耗すれば、建物全体、看板全体、航空機全体を取り替えなければならないことがある。一方、蛍光灯が摩耗しても、蛍光灯だけを取り替えれば、建物取得時当初予定していたのと同様に建物を使用して生産することが可能である。米国では、資産を構成する各部品の内、取り替えた部品が、資産全体の重要な部分を構成しているか否かに重点を置いて、修繕費か資本的支出かを検討する方法を採用している。