固定資産は、価値という属性を備えておらず、製品等の再生産可能な生産用具、生産手段にすぎない。そこに再生産できる総数量に基づき価値を込め、固定資産の取得に要したこの与えられた価額そのものは、当該価値すなわち投下した現金に付与された価値属性の大きさを生産過程における全使用期間を通じて変えずに製品に移転する。

固定資産は、製品一つを生産する毎に残存生産可能量が減少するから、固定資産に与えられた価値は減少する。これが減価償却費であると説明され、現実に当該固定資産を事業に使用した法人が実際に生産した数ではなく、当該固定資産を製造し若しくは販売する業者が内部留保の命令によって計画した月当たりの生産数量及び生産可能年数に基づいて減価償却額が決定される。

減価償却費すなわち人件費は、月割りで計上するまで、法人資本に対し損益計算上前貸しされることとなる。労働者は、生産手段を貸し付けられ、 労働には価値が備わっておらず、固定資本が主人となり、労働力という価値属性を規定され、労賃を受け取るだけとなり、生産した物は受け取れない。固定資本に現金を投下することにより、生産手段を労働力が稼働させているにもかかわらず、労働時間は減るとされ、労働力が生み出す価値属性と交換された架空商品の評価という労働時間が減ったとされ、生活の土台となる現金が減額されることにより、労働力という価値属性が実体化される。資本家の剰余資本は減少しない。資本家の剰余資本を生み出す労働時間が増加することになる。