これから、5月、6月は、3月決算法人の確定申告時期を迎える。法人税の申告については、申告期限の延長の特例という制度が存在する。
一方、消費税には申告期限の延長の制度は、存在しない。
よって、法人の決算が確定していない場合であっても、消費税の申告及び納税をせざるをえないという事実関係が存在する。
消費税も納付税額が当初申告より増額することとなる場合には修正申告、減額となる場合には更正の請求を行うという法律関係が存在する。
法人の決算の手順としては、まずは、消費税額の確定という作業からとりかかることとなる。
売上金額の確定していないもの、当期の売上に計上することとなるものであるのか翌期に計上することとなるものであるのか、事実関係を調査しなければわからないもの、法律上どちらの期の売上であるとも解釈されうるもので、経理担当者のみでは判定できないもの、収益計上を消費税申告の日の時点では見送り、法人税申告の時点で確定することとなるであろう。
雑収入若しくは特別利益で課税売上に該当するのか課税対象外か検討を要するものについては消費税申告の段階では、課税対象外としておくこととなろう。
値引き割戻し、貸倒れ等計上時期判定が困難なものも消費税申告の段階では課税売上の返還としておくこととなろう。
固定資産については、引渡し、例えば、建物の完成、器具備品等の納品を受けた日が調査しなければわからない場合、当期取得として消費税申告の段階では計上することとなるであろう。リース資産については契約日の課税仕入にするであろう。
消耗品についても使用実績があるか否か、貯蔵品か否かどうかの検討は消費税申告の段階では見送られることとなるであろう。
販売管理費の内、当期中に役務の提供を受けたか、支払金額が確定したのか調査を要するものは消費税申告の段階では、請求書、見積書等から費用計上しておくこととなるであろう。販売管理費に計上した運賃・倉庫代の在庫計上の検討は消費税の段階では見送られるであろう。外注か給与か判定が困難な場合には、消費税申告の段階では、外注費に計上しておくということとなる。
地代家賃の短期前払費用は消費税申告の段階では計上することとなるであろう。
国外旅費や国外事業者との取引や損害賠償金の支払等の内、課税仕入か課税対象外か検討を要するものは消費税申告の段階では課税仕入となるであろう。
勘定科目内訳書も同時に作成し、経費の計上漏れ、売上の過大計上がないようにする。
次に、法人税の仮納付の金額を決める作業となるのであるが、まず、外注費、売上原価については、売上計上するか否かの結論が先送りになっている分だけ、在庫計上が多く建っていることとなる。固定資産か修繕費か、少額減価償却資産か判定が困難なものは、損金に振り替えないでおくこととなるであろう。
役員賞与となりうるか否か判定が困難なものは所得に加算しておく、交際費、寄附金か判定が困難なものも所得に加算しておく。支払利息及び保険料についてはこの段階では短期前払は実施しない。締め後給与、期末賞与の計上はこの段階ではしないこととなる。
固定資産については、事業供用した日すなわち試運転の日の判定に調査を要するものについてはこの段階では減価償却しないこととなるであろう。引当金もこの段階では計上しないでおくこととなる。未
払い社会保険料もこの段階では、計上しないでおくこととなるであろう。納税充当金を予想より多めに建て、予想納税額より多く納め、租税コストの見積りが過少であったことから、進行事業年度の予算が足りなくなることを防ぐ。
消費税申告の翌月に入ったら、消費税申告時に未確定であった収益費用を確定させ、未計上であった収益費用を計上し決算を確定させ税務申告書の加算減算事項を確定させ、税額控除については、その適用があるのか法人税の確定申告書提出時期になっても結論が出ない場合には、税額控除には宥恕規定がないから、税額控除の明細書を作成して申請して、その適否を税務行政側に判定をさせるという手順で法人税の申告を行う。消費税については修正申告を行う。このような手続で法人税消費税申告が行われるものと思われる。