法人税法上の所得と企業会計上の利益の違いについては、学説上、法人税法上の所得は、担税力に応じた課税の公平を実現するためのものであり、企業会計上の利益は、企業の財政状態及び経営成績を把握するためのものであるという目的論から説明されている現実がある。しかし、上記のようなとらえ方では、両者の相違を分析する際の科学的な方法とはなりえないであろう。企業会計上の利益が株主、取引先、労働者との間の生産関係、経済関係を表しているのに対し、法人税法上の所得は、ブルジョアの共通の事務を司る委員会である国家が定めた法人税法という経済関係の上層にある法律、行政と納税者の所有する経済関係の間にある、国際金融資本の一方的な権力行使という関係がある。すなわち、法人税法上の所得と企業会計上の利益の相違は、所得が、中央銀行の所有関係を土台にした実体関係、国際金融資本との資本関係から規定されるといることから、経済上の全関係の内の一部の関係の違いに立脚しているのである。 租税、引当金を始めとする、会計上、債務、損失とされたもので、実体がなく、現実には内部留保となっているものの内の一部を疎外して利益に加算され、費用損失が実現したもの、国際金融資本、現実には利益であるが国際金融資本が立法により利益でないという方便が実体あるものと認めさせることに成功したものを利益から減算したものが所得といわれるものである。