国際金融資本が、世耕弘成を座長とする自民党の生活保護プルジェクトチームを使用して、生活保護給付水準を10%引き下げる生活保護改革案を提示した。財政再建を訴えるが、アメリカ軍に対するいわゆる思いやり予算をはじめとする軍事費の廃絶、大企業優遇税制の撤廃を行うなどして財政再建を行えばよいのであって、生活保護の引き下げをこれらに優先して提案するあたり、相変わらずのブルジョア政党ぶりである。

親が喧嘩が弱くて高校に行けなかったり、専門学校に通うなどして資格をとれず、有期の契約社員や非正規雇用で採用された者が多い事実を考慮していない。このような者は生産手段を持たないから起業できないし借金もできない。会社の内部留保命令によって、バブル世代よりも努力しながら就職できなかった者もいる。会社の内部留保拡大命令に基づき解雇された者もいる。役務の対価を絞られて廃業した零細業者もいる。にもかかわらず、努力不足であるとか現実には経済関係社会関係から自由に選択できる者などいないのだが、一人ひとりが自由に選択したことだと言って切り捨てる。雇用を促進する「ため」には、内部留保が必要だと反論するが、このような主張は「方便」であって、現実に雇用していないではないか。

職業訓練による自立支援は必要であるが、努力しても会社の内部留保拡大命令によって現実に就職できるとはかぎらない。現実に就職するまでの生活はどうなるのかという問題を切り捨てているのだ。自民や民主を支持する者は、国際競争力を方便に反論するが、競争によって商品や役務の水準が向上したか。搾取競争が拡大しただけではないか。商品や役務の水準の向上は、既成の経済関係に基づく科学的な問題提起、推論によるものである。国際競争力を小学生にもわかるように噛み砕いて説明すると、国際競争力とは、世界に散らばるブルジョア同士がよその土地の儲け、もっとわかりやすく言えば金のなる木を取り合うことであり、寸分のズレもなく全く戦争と同じである。国際競争力とは戦争力のことである。泥棒をしよう、戦争をしよう、戦争に強くなろうとメッセージを送っているのである。