未払給与に係る裁判例としては、最高裁昭和51年7月9日判決があり、使用人給与に係る利息は商事法定利率の6%であるとされる。使用人の給与は、勤務時間中、資本家、経営者の指揮監督下に置かれ、その成果に関わりなく、時間の経過と共に、すなわち、日割りで確定する。使用人の給料は、給料支給日まで会社資本家、経営者に前貸しすることをさせられているのだ。よって、給料日に予定どおり給与が支給されたとしても、資本家経営者側は、未払となっている疎外された労働の評価、使用人に利息を支払う義務があるのだ。米国でも、退職金利息は、現実に支払がなされるまでは、損金の額に算入されないとする判決がある(Albertson’s事件巡回控訴審判決)。

労働者は、労働を疎外されて、国際金融資本に貸付けをしており、労働債権は優先債権であるが、この給与利息を含めた労働債務については、2年の時効という制度がある(労働基準法)。時効の完成は、債務者が時効が完成したことを主張すること(時効の援用)により、支払を免れるという時効の利益が得られうる。2年を経過すれば、資本家経営者の主張により給与支払債務を放棄できてしまうという問題が存在するのである。