日米租税条約においては、投資に対する源泉地課税が大幅に軽減されている。例えば、日本企業がアメリカに子会社を資本金の10%以上を支出し設置した場合、アメリカ子会社が日本親会社に配当を支払う際には、5%の源泉徴収された後の金額が日本に所在する親会社に支払われ、配当の支払を受けた親会社は、日本国内においては、海外子会社から受けた配当金については、差し引かれた配当源泉5%が損金不算入になるだけで、95%が益金不算入である。さらに、アメリカ子会社にその資本金の50%超を出資した上場企業は、アメリカにおいて源泉徴収されず、日本国内でも受取配当金は非課税なのである。大企業は、国内外において二重の優遇課税を受けられることとなる。したがって、従前は、海外子会社は、配当を行わず、海外に内部留保していたのであるが、これにより日本国内に配当という形で内部留保を還流させても税制上優遇されるのである。税率の低い国若しくは地域に子会社を設置して免税分によって増加した内部留保を日本に還流して日本においても課税が免れるのだ。植民地促進税制は、更に進展させたのである。一方、アメリカ法人が、日本国内で収受した使用料収入は、非課税となっている。日本の海外侵略をアメリカ軍が後押しし、いわゆる形をかえた「思いやり予算」であろう。