Sham transactionとは、偽装取引、取引が虚構であることであり、実体関係、すなわち当該経済関係が現実に存在しないことである。近年の移転価格税制をはじめとする関係会社取引、同族会社とその役員間の取引に係る事案で、米国国税庁や租税裁判所等がその論理を用いることがある。事実関係から離れずに課税に馴染むか否かを検証していく点で、空想論である移転価格よりは遥かに精度の高い方法論であるが、法人の行為は登記等を行って、当該取引の主体となって第三者に対抗しうるのであって、そこに自由意思が介在しないことを考えれば、ブルジョア国家側に方便を与える方向に転じさせうる。