法人が株式等を贈与若しくは譲渡する際に役員自宅を社宅として買い上げ、(借)建物(貸)借入金と認識し、貸借共に固定資産評価額で評価し、更に、建物を財産評価通達により、固定資産評価額から借家権割合30%を控除して再評価することにより、株価を下げるといったことが行われることがある。この借家権割合30%の根拠は何か。借家権割合とは、賃貸人から明渡しの要求を受けた際に、若しくは、ブルジョア国家が当該土地を取得して公用地とした場合に、借家人に自由意思が介在する余地なく立ち退かざるを得なくなったことに伴い、事実上喪失した経済的利益を借家人に補償すると仮定した場合の補償割合を指している。したがって、借家人が生命を維持して労働に耐えうるるだけの金銭が支払われて補償金ということになるのであって、ブルジョアが土地に価値(補償金)という属性を与えて社会に認めさせた割合にすぎない。このことは固定資産評価額についてもいえる。固定資産評価額、30%の借家権割合及びそれを控除して評価減した建物の価額が適正な評価額を反映していると言い切ることはできないのである。
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