国税に係る強制調査については、立法上の不備が指摘されることがある。しかし、立法論による解決から始めるのではそれはブルジョア税法学者の態度である。先ずは、既存の事実関係はどうなっているのか。査察というと大企業というイメージすなわち観念、現象をメディアが植え付けているが、中小法人や個人所得者に対しても行われる。
査察官は、裁判所の令状を所持していることを強制調査の実施要件とされているが、税理士等の立会いは要件とされていない。裁判所はブルジョア国家の装置にすぎないから、取引先等より収集した資料について更に調査を行う必要がある。
裁判官にこう言うと裁判官に対する侮辱だと怒るかもしれないが、裁判官に偉い人という属性はない。科学的な方法論は、偉いだ侮辱だなどという唯心論などから問題を論じることをしない。査察官は、これら資料に基づき仮説の立て方を検証し、更に問題を提起して、立法作業開始前の既存の経済社会事実関係及び当該事例が行われた当時の所轄内外の既成の経済社会事実関係を比較して法を解釈して、国犯法の条文が当てはまるか確認していくにあたり、物的証拠をはじめとする既存の事実認定を全体化して、納税者に質問しなければ事実か否かを確定することはできないのであって、強制調査を刑事手続に相当するものとの立場に立つのであれば、刑事手続の特別法と解するのであれば、既存の法の立法、解釈適用がブルジョアが社会に認めてきたものにすぎないのであれば尚更、全体化作業をせずに、金融資本家に所有されたブルジョア国家からの要請により納税者に鎌をかけて一本とるような経済社会事実関係を離れた唯心論目的論行為はできないこととなる。
よって、調査理由、すなわち目的方便でなく原因事実の開示も強制調査の手続に含まれることとなる。力づくの論理や鎌をかけるような質問をされて自白を強要されるようなことは、事実をフィクションしうるものであるから、あってはならない。したがって、刑事手続にある被疑者の黙秘については、強制調査に係る手続においても成立させる必要がある。当該事件に関係していない弁護士税理士をはじめとする第三者の立会いばかりでなく、署名押印した税理士にも査察に立ち会わせて当該事実関係について知っていることを述べさせ、全体化していく作業が必要となるのである。脱税の意図などどうでもよい。税法は倫理規範ではない。性善説、性悪説による議論もブルジョア税法学者の態度である。