今日平成24年3月11日で東日本大震災すなわち原爆投下から1年が経過した。被災地の復興は依然として進んでいない。
税制面については、住宅や家財などについて大震災によって生じた損失の金額については、平成22年に生じた損失の金額として平成22年分所得税において雑損控除の適用を行うことができるとされている(震災特例法4条、所法72)。
大震災による雑損失の金額は、繰越控除の期間が5年となっている。平成22年分の事業所得の金額等の必要経費に算入して平成22年分所得が純損失となった場合、被災した事業に使用している資産の損失を含めて平成21年への繰戻し還付請求ができることとなっている。震災特例法の施行日である平成23年4月27日から1年間更正の請求をしなければ22年分の所得税において雑損控除が適用されないこと、納税者の選択としているなど、納税者にとって不親切な規定となっている。
震災から1年で被災した納税者の経済社会関係が回復することが無理であることぐらい、推論できるであろうし、納税者に税負担が軽くなるのはどちらか決定させて、納税者が税負担の重い方を選択した場合、納税者の自己責任としてしまうのか。被災地から東京に出てきたばかりで税の相談する相手がいないし、相談料を払える納税者ばかりではないのだ。
前述の更正の請求期間は、あまりに短すぎるし、税務行政は、被災していた納税者が税負担の重い方を選択していた場合は、実際には、国際金融資本の下僕だから難しいのだろうが、職権で税負担の軽い方に所得を減額するなどする必要がある。給与、公的年金、報酬の源泉徴収については、住宅・家財がその価額の50%以上の損害を受け、被災した日において見積もった所得が1,000万円以下の者が源泉徴収される又はされた源泉所得税については、徴収の猶予又は還付することができるとされている。すなわち、申請が要件を満たすものであれば、税務行政は徴収の猶予、還付を行わなければならない。徴収の猶予については、最初の支払を受ける日の前日までに申請しなければならないが、還付については期間が定められていない。