平成23年税制改正において特定支出控除に係る所得税法の改正が行われた。

「等」の範囲は有限であって、その内容は確定されたものであり、「等」をはじめとする不確定概念を用いる法律の体系は、「等」の範囲を確定する定義についての規定があるのであるが、特定支出控除の定義を定めた所得税法57条2項の書き方は、その定義を列挙して「とする」と結んである。

条文の文言に即して読むと、同規定は、創設規定となるのであるが、同規定に限定列挙された項目を見ると、給与所得者の必要経費となりうるのは果たしてこれだけであろうかとと疑問がある。例えば、大企業の役員は、会社の社宅に居住すれば、時価より大幅に安い賃借料で居住することができ、法人税制上も会社の社宅が借上社宅の場合、共益費を含め社宅家賃を損金として計上でき、家賃受入額(雑収入)は、時価プラス共益費の1/2計上すればよいとされているだけで、大企業ほど優遇されている。

大多数の社宅を有しない中小企業の労働者は、住居の賃貸料、電気、ガス、水道といった共益費については必要経費として認められていないのである。ブルジョアは、貸付けをフィクションして、労働を疎外し、内部留保命令を出して、労働者に生存を維持させ、労働力を再生産させ、労働し続けることを強制しながら、給与所得者の家賃共益費を業務に係る必要経費として全く認めず、生活費の中から所得税を源泉徴収して、軍隊をはじめとするブルジョア体制維持装置の労働者への貸付けのフィクションを負担させているのである。