<p>消費税法上、課税売上割合が95%以上となる場合には、住宅として貸し付けている賃貸物件であっても、その全額を仕入税額控除の対象とすることが認められている(法30①)。
既存の事業者等は、課税事業者となることを選択しょうと予定している課税期間の初日の前日までに、課税事業者選択届出書を提出することによって、課税事業者を選択することができ、新規開業した事業者等は、開業した課税期間の末日までに、課税事業者選択届出書を提出することによって、開業した日の属する課税期間から課税事業者を選択することができる。
この時、課税事業者となることを考えている初年度に巨額の資産の購入等を予定している者は、原則課税を選択する。
事業者は、先ず、課税事業者となる初年度において、自販機を設置し稼働させ、建物の完成を課税事業者となる初年度の年末付近に引き延ばす。それと共に、建物が完成した日の属する年度の12月28日までに簡易課税選択届出書を提出する。そして、賃貸開始を建物が完成した日の属する年度の翌年度から開始するということが従来行われてきた。
これによって、建物完成年度において、建物建設費の全額を仕入税額控除とし、消費税の還付を受けていたのである。
しかし、平成22年度税制改正において、課税選択をした事業者は、課税事業者となった日から2年を経過した日までの間に課税した各課税期間(簡易課税の適用を受けている課税期間を除く。)中に調整対象固定資産の課税仕入等を行った場合には、その課税仕入等の日の属する課税期間の初日から3年経過する日の属する課税期間をやめることができない(法9⑦)。この場合、この間は、原則課税を行うこととなる(法37②)。この規定により、上記のような節税スキームは行いえないこととなった。</p>