貸倒損失は、課税標準額に対する消費税額から控除される(消費税法39条1項)。
課税資産の譲渡等に伴う債権(売掛金・未収入金等)について生じた貸倒れに係る消費税額については、貸倒れの発生した課税期間の売上に係る消費税額から控除できる。課税資産の譲渡の対価以外の売掛金、貸付金、立替金等の貸倒れは、課税対象外。
免税事業者となった後における課税事業者当時の売掛金の貸倒れは、控除の対象にならない(基通14-2-5)。
免税事業者であった課税期間の売掛金等につき貸倒れが生じた場合には控除できない(基通14-2-4)。
簡易課税制度を適用している場合には、課税標準額に対する消費税額から簡易課税制度を適用して計算した仕入れに係る消費税額を控除した後の消費税額から貸倒れに係る消費税額を控除する。
貸付金等の、課税資産の譲渡等以外の債権の貸倒れを控除の対象にすることはできない。
(消費税39条)
事業者(第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において課税資産の譲渡等(第7条第1項、第8条第1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)を行った場合において、当該課税資産の譲渡等の相手方に対する売掛金その他の債権につき、更生計画認可の決定により債権の切捨てがあったことその他これに準ずるものとして政令で定める事実が生じたため、当該課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部の領収をすることができなくなったときは、
当該領収をすることができないこととなった日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税から、当該領収をすることができなくなった課税資産の譲渡等の税込価額に係る消費税額(当該税込価額に108分の6.3を乗じて算出した金額をいう。第3項において同じ。)の合計額を控除する。
(消費税基本通達14-2-4)
課税事業者が、免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等に係る売掛金等につき貸倒れが生じ、当該課税資産の譲渡等の価額の全部又は一部の領収をすることができなくなった場合であっても、当該領収をすることができなくなった金額については、法第39条第1項(貸倒れに係る消費税額の控除)の規定はないのであるから留意する。
(注)同項の規定の適用を受けない貸倒額については、当該貸倒額の全部又は一部の領収をした場合であっても法第39条第3項(貸倒回収に係る消費税額の調整)の規定の適用はない。
(消費税基本通達14-2-5)
課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後において、課税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等に係る売掛金等につき貸倒れが生じ、当該課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部の領収をすることができなくなった場合であっても、当該領収をすることができなくなった金額については、法第39条第1項(貸倒れに係る消費税額の控除等)の規定の適用はないのであるから留意する。
(注)課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後に、課税事業者であった課税期間において同項の規定を受けた貸倒額についてその全部又は一部を領収した場合であっても法第39条第3項(貸倒回収額に係る消費税額の調整)の規定の適用はない。