損害賠償金の支払いは、一般に課税対象外であるが、棚卸資産の譲渡代金相当額、無体財産権の使用料相当額、不動産の賃貸料相当額を支払った場合には、仕入税額控除の対象となる。
本体価格と利子とを区分、明示して行った延払販売において、得意先が繰上弁済をしたことにより徴収する早期完済割引料は、受領して逸失利益を補填していれば、損害賠償金に該当し、課税対象外となる。
上記早期完済割引料が定額となっている場合は、解約手数料を対価とする役務の提供に該当するとされ、課税対象になる。
金銭債務の遅延返済に伴う損害金は、利息に該当するとされ、非課税になる。
リース物件が滅失した場合に、その賠償として支払われる規定損害金は、対価関係がないとされ、課税対象外とされる。不課税
ユーザーの破産、廃業、会社更生等を理由にリース契約を解除してリース物件を引き揚げ、ユーザーに請求する規定損害金は、逸失利益の補償に該当するとされ、課税対象外とされる。不課税
物件のレベルアップ等に基因する解除の場合に収受される規定損害金は、リース料の修正に該当するとされ、課税取引となる。
品質の不良、相違、破損、納期遅延等のクレームにより支払う損害賠償金が、値引きと認められる場合には、対価の返還等になる。
クレーム処理の損害賠償金については、値引きと認められない場合には、対価関係がないとされ、課税対象外となる。
販売店等がメーカーに代わってクレーム処理を行った場合において、メーカーから受け取る対価は、課税対象となる。
自己所有の施設を他人が損傷した場合にその他人から徴収する損傷回復の名目での原因者負担金は、対価関係がないとされる損害賠償金とされることから、課税対象外となる。
建物を壊され、加害者から受け取った損害賠償金で修理を行った場合、その修理代金は、課税仕入れとなる。
建物賃貸のキャンセル料は、賃貸人の逸失利益の補填として受け取ったとされ、課税対象外となる。 不課税
キャンセル料として没収するゴルフ予約金については、逸失利益に対する損害賠償金と解約に伴う事務手数料の部分の両方が含まれている場合に、その全額を損害賠償金として処理しているときは、その全額を課税対象外にすることができる。
売買契約の買手からの解約申出に伴う手付金の没収は、損害賠償金とされ、不課税になる。
交通事故の示談金は、一種の損害賠償金とされ、不課税になる(基通5-2-5)。
補償金、違約金については、対価関係の有無により判定する。対価関係の有無は現実の経済関係により判定するが、一般には対価関係になく、不課税である。
倉庫からの搬出遅滞により徴収する違約金は、遅滞期間に応じて徴収する保管料に該当し、役務の対価として課税対象になる。
課税対象外となる損害賠償金を得ることの基礎となったものに要した課税仕入れは、個別対応方式を適用する場合においては、課税・非課税共通となる(基通11-2-16)。
(消費税基本通達5-2-5)
損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等の対価に該当しないが、例えば、次に掲げる損害賠償金のように、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。
(1)損害を受けた棚卸資産等が加害者(加害者に代わって損害賠償金を支払う者を含む。以下5-2-5において同じ。)に引き渡される場合で、当該棚卸資産等を所有する者が収受する損害賠償金
(2)無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金
(3)不動産等の明渡しの遅滞により加害者から賃貸人が収受する損害賠償金
(消費税基本通達11-2-16)
法第30条第2項第1号(個別対応方式による仕入税額控除)に規定する課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(以下「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」という。)とは、原則として課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等をいうのであるが、例えば、株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費、証券会社へ支払う引受手数料等のように資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ等は、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして取り扱う。